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大場代表
ISC留学net代表兼LHE取締役会長
大場 規之OBA, Noriyuki
毎月10日更新

劇場型社会 と 若者達

 

昨日、ある方から 「慶応大学法学部にAO入試で入学した学生の“流出自己推薦状”の事ご存知ですか?」 と投げかけられました。

ここでは、一般的には反則(?)とも思えるような、その推薦状そのものには触れませんが、その話をきっかけにインターネットでAO入試(自己推薦型入試)の事を探ってゆくと、青木大和、AO義塾、洋々、・・・といったキーワードがやたらと出てくることがわかりました。

これらは皆、AO入試の制度を利用して、うまく自己PRをすることで、学力にあまり関係なく(ともとらえられるように)比較的楽に、有名大学に入学をするか。または、したか。といった類の話に関係し、それらが、山のようにインターネット上に存在しているのです。

教育業界にいる者として、私自身の情報収集の遅さと感度の低さを反省したのはさておき(苦笑)、改めて、「自己推薦入試の裏世界(ネットに出ているのですから表とも言えますが) 」を知り、驚くとともに、“情報を発信すること” の、社会への影響力について考えさせられました。

考えさせられたいくつかのものの内、一つ・・・ 「情報発信力によって優劣が決まってゆく社会」 について。

先に触れた、自己推薦状についていえば、
その推薦状を構成する、
・内容 (いかに魅力的な内容や要素を持っているか=コンテンツ)
・見せ方(魅せ方)
といった主な要素の内、その後者 “見せ方のウェイトの高まり” の是非を考えさせられるという事です。

つまり、情報そのもの(コンテンツ)が同じでも、写真を使ったり、ビジュアルを使ったりすることで見せ方を変えれば、見られ方も大きく変わり、それによって、コンテンツの良し悪しの判断にもなります。そして結果的に、合否などにも影響する。ということなのです。

当たり前の話のようですが、推薦状と言えば、一般的な活字のみの文章だけで書くものと思いがちですが、まったく見方を変えて、まるで最新のカラー雑誌のように、インパクトのある写真、雑誌のような魅力的な見出しやキャッチコピーなどを使った、フリーレイアウトでカラーの推薦状だったらどうでしょうか?

それは、AO入試の審査官によっては高く評価され、大きなポイントとなるに違いありません。もちろん、逆もあり得ますが。
全く同じ人物なのに、これまでの文字を並べただけの推薦状と、後述のようなカラフルでキャッチ―な推薦状では、その人物の受け取られ方は全く変わるでしょう。

 
この傾向は、AO入試に限ったことではありません。
社会全体が、“情報発信力で内容を評価する方向” に進んでいると言っても過言ではないかもしれません。
企業にしても、ブランドにしても、政治にしても・・・
そうそう、政治と言えば、ここ十数年。政治は劇場型と言われています。
単純明快なキャッチフレーズや手法で大衆を巻き込もうとする政治手法がそれですが、これもまた “見せ方” に力点を置いた方法です。

本当に中身が理解されているかどうか?
中身も見せ方の通り魅力的かどうか?
そもそもその見せられている内容は本物か?

といったところが、もしかしたら軽視されているかもしれません。
言い換えれば、日本全体が、劇場型社会になっていて、中身が確認されにくくなっているともいえるかもしれません。

もし、そういう方向に進んでいるとすると、これから社会に出ようとする子供たちはどうでしょうか?
また、今必死に生きている若い社会人はどうでしょうか?

中身を鍛えずに、情報発信力だけに依存する生き方になっていく心配はないでしょうか?
そして、中身を鍛えることに失望を感じる事さえあるかもしれません。
ある程度社会経験を積んでゆけば、そうしたこともうまく吸収できるかもしれませんが、純粋な若者の芽を摘むことにもつながる可能性があります。

社会を決めてゆくのは全ての人々です。
こうした、情報発信力だけに依存した社会、劇場型社会では、“本質の向上がおろそかにされること”で、まわりまわって、全ての人たちに“ツケ”が回ってくることにもなります。
もちろん、情報発信力も必要で、そのノウハウを会得することも大切ですが、中身を鍛え、本物の実力を持つ若者が評価される社会にしなければならないと思うのは私だけではないでしょう。

2015.4.10
大場規之