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大場代表
ISC留学net代表兼LHE取締役会長
大場 規之OBA, Noriyuki
毎月10日更新

デフレと留学

 

オリンピックが開幕しました。
毎回、開会式のエンターテイメント的なサプライズにはまさに“驚く”わけですが、昨夜はドローンで描く、人の姿や五輪が、その目玉だったと思います。開会式でドローンが使われるらしいとは聞いていたものの、そのスケールや技術に度肝を抜かれました。一体どの様にあのパフォーマンスができたのか、舞台裏を覗いてみたいと思ったのは私だけではないでしょう。

オリンピックでの開会式や閉会式でのサプライズを見るたびに、人間の想像力は素晴らしいと思うと同時に、次のオリンピックはそれを越える事が課されるわけですから、次の開催地は大変だろうな・・・と思うのですが、いつもいつも、私のちっちゃな心配は全く必要なかったことを思い知らされます。(笑)

NHKで観たその開会式に続いて、ドキュメント72時間http://www4.nhk.or.jp/72hours/
という番組を見ました。
ご覧になられる方もおられると思いますが、私はこの番組がとても好きです。
昨夜は赤羽のおでん屋さんが舞台でした。

朝から開くそのおでん屋さんに夜勤明けの男性が寄ってコップ酒を飲む。
ブラジルの日系4世が、ブラジルから子供たちと共に日本の文化を知る為に来た。
30代の夫婦。妻の若くして亡くなった母親とのそのおでん屋の思い出を語る。

などなど、様々な人々の人生模様がありのままに描きだされます。

私はこの番組を見ていると、“ヒト”が一層好きになると同時に、自分も頑張ろうという気持ちになります。
昨年、アメリカに出張した際に、この番組が英語に吹き替えられて放送されていました。
私だけでなく、国境や文化の枠を越えて、多くの人々がこの番組から元気をもらうのでしょう。

ところで、
3日前の日経新聞の朝刊に掲載されていたコラムがとても印象に残っています。

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「物価上昇 気にするのは日本人」 (コラム「アジア頼り」)
フィリピンの首都マニラで値上げに踏み切る日本料理店やラーメン店が相次いでいる。ある人気の日本料理店は1食あたり軒並み50ペソ(100円強)引き上げ、丼メニューは日本円で1200円超になった。「これまでの頻度では来られないなあ」。ついこうした思いが頭をよぎる。ほかの日本人駐在員らに聞くと、やはり足が遠のきそうだという。
店内のフィリピン人客を見ると、ためらうことなくサイドメニューも注文しており、客足も落ちていない。
近年のフィリピンのインフレ率はおおむね3%。経済が好循環にあれば物価が上がるのは当然でいちいち反応しないようだ。日本で長年のデフレが染みついた自分の感覚がずれているのだろう。次に値上がりする前にお金を使っておこう。
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私は、このコラムを読んで、デフレの恐ろしさを改めて感じました。

海外諸国は程度の差こそあれそのほとんどがインフレの方向に(物価が上がる)進んでいます。
その率が高すぎれば賃金上昇を上回り、社会生活上の大きな問題を生みます。国は、そのインフレ率のコントロールにいつも神経を使っています。

もう30年近くも前の話になりますが、私がヨーロッパ(フランス・ドイツなど)で仕事をしていたころ、年末の仕事の一つに、全ての商品の売価の見直し設定があり、年によって少しは変動があるものの、全商品のほとんどを2~3%程度の値上げをして“翌年価格”を設定したのを思い出します。

そのころ聞いた話では、値上げをしないと給料も上がらないから労働系の団体が“商品の値上げをすることを国に求める”のが当たり前との事でした。この話の真偽はよく分かりませんが、国全体で、また西ヨーロッパ主要国(当時はEC)全体と言っても良いでしょうか、物価が安定的に上昇する仕組みを作っていたのだという実感を持ったものです。

そうした結果と言っても良いでしょうか、今のEUでもアメリカでも、国により差はありますが2000年を基準にすると現在まで、物価も賃金も1.3~1.8倍くらいの幅で上がっているという統計が出ています。

それに対して日本はどうでしょうか?
統計によりその数値にはばらつきがあるものの、2000年比であれば賃金は0.9倍ともいわれて所得は低下、物価もデフレで下がっています。5年前に設定した2%のインフレターゲットの達成は到底実現できそうにありません。

日本の中だけで暮らしていれば、所得は下がったものの、物価も下がって(または横ばい)いるので、苦しい状況は続くものの、このデフレの異常さは市民生活の中ではあまり取り上げられません。

しかし、日本に所得の基本を持つ人が海外のモノやサービスを購入するとどうでしょうか?
前述のように、海外の主要国の中には十数年間で1.3や1.5倍とかに物価が上がっているのが普通で、発展途上国に至ってはもっと物価が上がっているケースが殆どです。
これまで変えていたものが買えなくなるのは明らかです。
先に紹介したフィリピンでの話がその典型と言っても良いでしょう。

同じような状況が留学でも言えることになります。
留学の多くは、日本の親御様が、海外の高校・大学や語学学校の授業、そして滞在費など生活に掛かる諸々のサービスを買うわけで、例えば、その授業料や生活費が15年で1.5倍になっている中、日本の親御様の所得は増えない。という事になり、ますます留学がしにくい環境になるわけです。

子どもたちにグローバル化が求められている一方で、その修業の場に出る環境がますます厳しくなっているという事です。

もう長期間にわたっていますが、デフレの問題はこういうところにも生ずるのです。
私がヨーロッパで経験したような、物価が緩やかに上がってゆく仕組みの必要性も感ずるところです。

2018.2.10
大場規之