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大場代表
ISC留学net代表兼LHE取締役会長
大場 規之OBA, Noriyuki
毎月10日更新

不可能性の時代 と 理想の時代

10歳代後半から20歳代の若者にアンケートを取った結果として、「今の生活に満足している」 という現状への肯定の回答が多いというのは、過去のこのブログでも触れたことがあると思います。こうしたアンケート結果は、いくつかの複数の組織がアンケート実施の主体となって出しているものですので、信ぴょう性は高いといえるでしょう。 一見、今の若者は “満足して良い社会を生きていると思っている” 良い結果ともとれるかもしれません。

しかし、私は、この結果に対して、“幸せな環境を生きる若者のぬるま湯的満足感” として、様々な機会を利用して、若者には現状に満足せずに、もっと厳しい環境にあえて挑戦して、たくましく育ってほしいと、訴えてきました。 そして、留学がその “あえて厳しい環境に身を置く良い機会” であり、そこから多くの事を学ぶことで生きる力が育まれるとも言ってまいりました。

そんな中、社会学者の大澤真幸(おおさわまさち)さんのお話を聞く機会に恵まれました。
大澤さんは、いまの時代を “不可能性の時代” といい、“理想の時代” と区別しています。

そして、“理想の時代”は、たとえば1970年代がそうであったと言っておりますが、多くの若者が理想を掲げ、その理想を追うがゆえに自分たちが現実的に身を置く “今” に不満を抱き、その結果として、自分の夢や希望を実現すべく積極果敢に挑戦をする姿勢が生まれると説明しています。

一方で、“不可能性の時代” である現在はというと、“願いはかなわない” という前提が先行することで、夢や希望を持たなくなる。
夢や希望といったより良い世界や理想を追い求めることもなく、イメージもしないことが、すなわち “不可能性の時代の現象” である。と。
したがって、こうした状況下におかれた若者は、現状に満足しているように見え、また理想や夢が無い本人たちも、充足されているような感覚になっている。という事なのです。
とても残念なことです。

そう言われてみれば、これまで、ただ漠然と “そんなものだ” と思ってはきたものですから、私として真新しさを感じたわけではありませんが、不可能性の時代と理想の時代という名前を付け、それぞれの特徴を紐付けた説明によって、私の胸に響き、子供たちが直面している社会を理解するうえで、一つの大きなベースを得たような気がします。

さて、私たちに課せられた課題は、この “不可能性の時代” に生きる若者に、どのように夢や理想を与えるかという事です。
大澤さんの説明によって、背景の説明ができるようになった今、具体的な解決策もより現実的に考えられるようになるはずです。

私は、やはり留学に結びついてしまいますが(笑)、海外で一人で暮らすことによる “満たされすぎない事=不便や不満がたくさんある事” と、 頑張ればその不便や不満は解消されるという “成功体験と可能性の実現” を得ることが、一つの解決策として大きな成果につながると思います。つまり、若者が夢や理想を追い求められる体質を得ることができるひとつのおおきな選択肢になり得ると考えています。

留学をすることは、残念ながら社会全体の問題解決に直結するものではありませんが、人ひとりの影響は大きなものです。一人でも多くの若者が海外に出て、夢や希望を持てる人生を歩むことができることは、大きな一歩に違いありません。

大場規之
2013.02.25